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大阪高等裁判所 昭和24年(を)2554号 判決

被告人

申仁植

主文

本件控訴は之を棄却する

理由

原審第一回公判調書をみるに被告人は原審裁判所の問に対して前科なき旨答へたので檢察官は被告人の前科を立証するために指紋対照方照会と題する書面を提出し被告人及弁護人は之を証拠とすることに異議を述べたが原審裁判所はその異議を却下し適法に之が証拠調を爲し被告人及弁護人に対し反証をあげて右書面の証明力を爭ふことができる旨告げたるに被告人及弁護人は共に爭はざる旨答へたことが明記せられており而も右書面を檢するに相樂地区警察署は昭和二十四年四月五日被告人を窃盜犯人として緊急逮捕をなし直ちに同人の指紋を採取し翌六日國家地方警察本部刑事鑑識課に照会し同課に於て右指紋に基き調査を遂げ原審判示の如き被告人の前科を発見し回答欄にその記入を爲したる上右警察署に回答されたものであることが明かである而して右書面は刑事訴訟法第三百二十三條第一号の要件を充足せる証拠であり且つ前記指紋対照の経過に徴し敢へて別の鑑定をまつまでもなく原審裁判所が右書面を被告人の前科認定の証拠としたのは極めて適切な措置であつて弁護人の主張するような採証法則の違法はない。

以下省略

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